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第417巻
「体育大会は、きっと今年も同じだろうなあ」
幌がつぶやく。
ちょうど始業式が終わり、教室へと帰っているところだ。
放送部は、マイクやそのほかの放送設備の撤去をしている。
それを見ながら、人の群れの少し外でぼんやりとたたずんでいる。
まだまだ生徒たちは体育館の中にあふれていて、一向に減る気配はない。
ただ、わずかな流れに沿って、ゆっくりと、さざ波のように動いている。
幌の横には、山門がいた。
「いいんじゃないか」
「そうか?」
「そうだよ」
山門も、幌と一緒に、波を見ていた。