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女子高と男子校  作者: 尚文産商堂
体育大会 当日編
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第41巻

第51章 体育大会 〜本番編 入場〜


クラスのみんなが座っているところへ向かうと、大概はすでに来ているようだった。

「今回のような、男女共同で行われる場合は、それぞれのクラスを併せて席が決められる。だが、その枠内だったら、どこに座ってもかまわないからな」

共同主任という男子校、女子高両方の学年主任を兼ねている国山嵐が、1年生全員に伝わるように大声で話した。

「では、お願いします」

そう言って、近くにいたほかの1年生学年団の先生たちに点呼をお願いした。


「全員居るかー?」

幌の担任の高啓槻が、男女ごちゃごちゃになったクラスを見まわしながら言った。

「います」

委員長が簡単に答えた。

「じゃ、選手変更は無しだな。なにか、気分が悪いとか、怪我したとか、その他もろもろの理由で行きたくないというやつはいるか?」

「せんせー。やる気がない場合はどうすればいいでしょうか」

誰かが聞く。

高啓はあっさり答える。

「やる気がない?優勝したらもれなく『Haagen-Dazs』を一人一つやると言ったら、やる気も出るか?あ、ただミニカップだがな」

なんとなくだが、みんなのやる気が上がったような気がする。

「さて、じゃあ気合い入れていくぞ!」

「おー!」


それからちょっと間があいて、放送が入った。

「生徒の皆さんは、入場門に集まってください」

点呼が終わってすぐに、入場行進の時に必要な人員は本部に集まっていた。

宮司の朗々とした声が、スピーカーを通して拡散した。

「じゃ、行くか」

幌はゆっくりと立ち上がり、入場門へ向かった。


奇数クラスは赤組、偶数クラスは白組となっていたが、入場行進のときだけは、それぞれの学年ごとに行われることになっていた。

この体育大会での優勝の決定システムはややこしく、学年優勝、各組内優勝、総合優勝と分かれていた。

総合優勝は、赤組白組の総得点が高いほうの組の中で一番得点が高いクラスが選ばれることになっており、各組内優勝とかぶることになっている。

学年優勝は、総合優勝か各組内優勝クラスを除いたそれぞれの学年内で一番得点が高いクラスに与えられることになっていた。


「…こんなややこしい優勝システム、誰が決めたんだよ」

並びながらも、幌は星井出に愚痴っていた。

「誰でもいいじゃないか。そんなシステムに愚痴るよりも、勝つことに集中したほうがいいと思うよ。なにせ、ハーゲンダッツがかかってるからね」

そんな会話でわいわい騒いでいると、先生が立ち上がるように指示をした。

パラパラと保護者に来ているようだ。

「じゃあ、練習通りに」

「了解です」

そして、音楽が鳴り始める。


朝礼台には、校長がたってこちらを見ている。

「先頭を歩いていますのは、生徒会長の長谷川倫子さんです。続いて、国旗、県旗、校章旗です。文化会会長、体育会会長、各運動部部長です」

ぞろぞろと行進をしている。

「最初に、3年生です。最後の体育大会となりましたが、悔いの残らないように頑張りたいと思います。精一杯頑張るので、応援お願いします」

正確なリズムで、行進を続ける。


ゆっくりとだが、確実に行進は進む。

「2年生です。中堅学年として、頑張っていきたいと思っています」

入場行進をしていくうちに、3年生はグラウンドに整列した。

国旗、県旗、校章旗は、行進の間にポールのところへ本部を経由して持っていく。

その間にも、1年生が本部前を通過する。

「最後に、1年生です。今年が初めての体育大会ですが、元気はつらつ、全力投球を心掛けたいと思います」

それで、入場行進の分の放送は終わった。


「選手宣誓。選手代表、飯尾澄田さん」

「はい!」

どこからか声が聞こえてくる。

静まり返った運動場で、マイクを持って片腕を上げながら宣誓した。

「宣誓!我々は、スポーツマンシップを乗っ取り、正々堂々と戦いぬきたいことを誓います!」

めちゃくちゃであるが、本人は気にしていない様子だ。

そんないろいろなことがあったが、校長先生からのお言葉やら、審判部からの注意やらがあって、開会式は終わった。


生徒は、それぞれの席に向かって戻った。

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