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第402巻
「海、いかない?」
「は?」
桜の唐突な言葉に幌は何も答えられない。
夏休みの宿題も終わり、高校最後の夏休みも残り2週間となったころだ。
「去年行っただろ」
「だけどさ、また行きたいじゃない。みんなで」
「姉ちゃん、宿題終わったのか?」
「もちろん。私を何だと思ってるの」
ドヤ顔決めている桜に対して、幌は馬鹿と天才はなんとやらという言葉が思い浮かんだ。
だが、そんなことは何も言わず、そうか、とだけ幌は答えた。
「あー、適当に答えたでしょ」
「はいはい」
ごちそうさまと言って、幌は食器を片づけ出した。