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第372巻
「いや、でも値段がさ……」
山門がそう言うと、幌が値札を確認する。
「意外と安いよ。ほら」
値札には、300円と税別と書かれていた。
「今は消費税8パーセントだから、324円だね、1つで」
どうするのという顔つきで、幌は山門をじっと見る。
「どうせ鈴に渡すつもりなんだろ」
「そうだけどさ……」
山門は付き合っている鈴の方をちらりと見る。
鈴は鈴で、桜と何やら話しているようだ。
「そうだな、後で買うっていうのよりも、今買わないとな」
山門は何か考え尽くしたような表情で、そのキーホルダーをつかんだ。