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第370巻
銀色だからと言って、本物の銀ではない。
単なる合金だ。
でも、輝きは銀に似せて作られている。
「きれぇ……」
琴子が、幌のすぐ横で、その指輪をつまんでしげしげと眺めるために顔の近くまで持ってきていた。
幌はというと、別の指輪を探していた。
「お、これが一対になるのか」
やっと見つけた指輪は、模様といい、形といい、色といい、瓜二つだ。
「どうだろ、買わないか?」
幌が琴子に何気なく聞いた。
琴子は、顔を徐々に赤くしながら、うんとだけつぶやいた。