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第360巻
翌朝、昨日よりもわずかに上がった部屋の温度を感じつつ、幌たちは目覚めた。
「うっうーん……」
若干涙を浮かべつつも、ベッドの中で伸びをする。
すぐよこにある時計を見ると、起床時間まではしばらく時間がある。
さて、今日の朝ごはんはと考えつつも起き上がるほどは、ベッドに腰掛けた体勢のままでピタリと固まった。
修学旅行中だったことを、思い出したのだ。
「しゅうがくりょこーちゅーだよ?」
声をかけたのは、ここにはいないはずの桜だ。
「ちょい待てや。なんで姉ちゃんがいるんだよ」
「……さあ?」
テヘッと笑い、桜は駆けて部屋から出た。
今日も騒がしくなるだろうという、その感覚を残しながら。