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女子高と男子校  作者: 尚文産商堂
体育大会 準備編
35/688

第35巻

第42章 体育大会 〜準備編 放送部〜


体育大会で忙しくなるのは、体育の授業だけではなかった。

部活動対抗と言う裏競技があるのだった。

実際に開催されるのは、体育大会の午後の競技の一番目。

運動部同士が戦う競技だった。


運動部以外で忙しくなる文化部は、放送部などの限られた部活だった。

「と言うことで、10数年のブランクを経て作られたこの部活だけど、資料は情報部と公安部から借りてきました。と言うよりかはコピーしてもらいました」

文版は、放課後の部活のとき、他の二人にそのコピーした紙をみせた。

「ついでに、先生から今年の競技内容ももらってきました。これさえあれば、どうにかなると思うよ」

「うわ…こんなにあるのかよ」

文版の説明を半分聞きながらも、コピーした紙も見ていた。

「ミヤミヤ、ちゃんと聞いてよ」

「はいはい、ちゃんと聞いてるって」

しかし、聞いているようには見えなかった。

「とりあえずさ、パソコンを入れておこうよ。古くてもいいからさ」

とつぜん、宮司が提案した。

「この手書きの文章のすべてを、そっちに落としておけば、どうにかなるんじゃないか?いろいろ便利にもなるだろうし」

「それだっ!」

文版が、指パッチンして宮司の方を見た。

「コンピューター部から古いパソコンを借りればいいんだ。で、部費がついたら新しいのを買って借りたのを返せば、完璧だ…よね?」

二人に確認するような目で、文版は見た。

「私は別にそれでかまわないよ」

「俺もだ」

豆見と宮司は答えた。

「じゃ、今から交渉してくる。二人はそのプリントに目を通しておいて」

文版は、勢いよく部室を出た。


コンピューター室に入ると、山門と鈴が、パソコンを分解しているところだった。

「あ、どうしたの?」

「ノートパソコンか古いパソコンで、『メモ帳』をかけるものはない?」

山門は腕組みをして、考えた。

「ここにおいてあるパソコンだったら、大体使えるよ」

「そっか。そりゃどうも。一つ借りて行ってもいい?」

文版は、キューブ型のパソコンを一台持った。

「いいけど、モニタとかは?」

「それも借りないといけないな…ちょっと手伝ってくれるか?」

山門は、ため息をついて、作業している手を止めた。

「分かった。鈴、そういうことだからちょっと抜けるね」

「分かった」

鈴はそれだけ言うと、再びドライバーを片手に作業を続けた。


文版と一緒に、山門は放送室へ入った。

「どうもどうも。コンピューター部でございます。パソコンの中古を一台お届けにあがりました」

山門は茶化して言った。

「タハハ…」

宮司が、苦笑いをしていた。

そのすぐ横で、豆見がプリントを真剣に見ていた。

「ああ、そのあたり置いておいて」

文版は、山門にそういった。

「コードとかのつなぎ方って分かる?」

文版は、普通に首を横に振った。

「わかんないけど、どうにかなるでしょ」

山門はため息をついた。

「それじゃだめだって。パソコンも生き物なんだから。ちゃんとつないでやらないと」

「じゃあ、この長机を使って。その上にセットしておいてくれる?」

「分かった」

文版にいわれて、山門はパソコンのセットを始めた。

文版は、二人のところへ戻って聞いた。

「で、どう」

宮司が言った。

「どうもこうも、こんなにあったんだって、驚いているところ」

「それよりも、どうにかならないかな。時々読めない字があるんだけど」

豆見からの抗議に、文版は答えた。

「そこは想像力で補わないと。他のところでも読めないのがあったら、前後の文脈から読み取るとかな」

二人が同時に言った。

「そんなことできたら、もうとっくにやってます」

そして、そのまま笑い出した。

文版はやれやれとした顔を見せて、再び山門のところへ戻った。

「どう」

「とりあえず、つくようにはしておいた。キーボードも使えるし、マウスも動かせれるよ」

そういって、文版にパソコンの前に座らした。

「つけ方とかは習ったとおりだから」

「へいへい、ありがとね」

山門は、ちゃんとパソコンがつけられたのを確認して、コンピューター部へ戻った。


こうして、放送部には強靭な助っ人が登場したが、文版と豆見はキーボードのタイピング速度が遅く、しかたがなく宮司がパソコン打ちをしていた。

それだけで、2日間かかった。

「さて、これで舞台は整ったわけなんだけど…」

腕がパンパンにはれている一人の少年をほったらかしにして、文版は冷静に話を進めた。

「誰がどこを読むかって言うことなんだけど、3人しかいないから人数が足りない。そこで、昨日、公安部と情報部に聞いて、当日に手伝ってもらえるかを聞いたところ…」

文版が証拠の品となる念書を2人に見せながら言った。

「無事に許可をもらいました。あ、ちなみに、人数はそれぞれ3人だからね」

文版が人数を指折り数えていた。

豆見が言った。

「じゃあ、合計9人でローテーションを組めばいいのね」

「そういうことね。どうにかなるでしょう」

文版がろくに考えもせずに答えた。

それを聞いて、宮司が答えた。

「どうにかならんだろ。それよりも、その人たちがどの種目に出るかを聞いたか?」

「うん、とりあえずは聞いてきたから大丈夫」

文版がブイサインを出しながら言った。

宮司はそれを見て頭を抱えた。

「それを出したとき、いつも何かしらの失敗があるんだよな…」

外は、徐々に風が強くなっていっていた。

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