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女子高と男子校  作者: 尚文産商堂
体育大会 出場決定編
34/688

第34巻

第41章 体育大会へ向けて


月曜日、3時限目にある体育の授業で、体育大会の説明があった。

「体育大会は、男女共同で行う。だから、この場には男女に集まってもらったわけなんだが…」

体育教師は、生徒を見回していった。

「自分が出る競技ぐらいは覚えているだろうから、右から順番に、200m競争、200mリレー、2人3脚走、スウェーデンリレー、生徒会種目、棒引き、綱引きだ」

そして、生徒はそれぞれの種目のところへと動いていった。


幌は、生徒会種目のところにいた。

「生徒会種目は、男女一組で行動することになる。それで、たすきの代わりに、黒色と赤色のランドセルを背負ってもらう。どっちがどっちを背負ってもらってもかまわない」

先生は、片手ずつにランドセルを持っていた。

「とりあえず、チーム分けだな。誰か好きなやつと組んでくれ。ただし、同性同士は無しな」

先生は、それだけ言うと、先生同士何か話し合っていた。


他の所も、似たような状況だった。

どこでだれが走るかなど、順番を探しているようだった。

「なあ」

突然、幌は声をかけられた。

琴子だった。

「どうした」

「わてもな、生徒会種目なんや。一緒に走ってくれへんか?」

幌は、頭をかきながら言った。

「まあ、いいけど…」

琴子は、安心したような顔になり、幌にいった。

「そっかー。それを聞いて安心したわ」

そして、琴子は続けた。

「なあ、体育大会の後って、何かするんか?」

「うーん…教室で、何かするかもしれないけど…どうしたの」

幌が、考えた末の結論を言ってから、琴子に聞いた。

「いや、何もない…」

しかし、明らかに何か隠しているようだった。

だが、幌は何も聞かず、黙っていた。


10分もすると、大体のチームに分けられた。

先生も再び戻ってきて、それぞれの説明を始めていた。

「じゃあ、チームに分かれて適当に並んでくれ」

そういわれたから、幌たちは一番後ろに座った。

「えっと…生徒会種目は…」

先生は、何枚もホッチキス止めされたプリントを見ていた。

「あった。生徒会種目は、男女合同2週で行われる。1つのチームで、4分の1週だな。今回は、最初が玉いれ、次にパン食い、3番目がぐるぐるバッド、最後がお姫様抱っこで8分の1週。1週が200mだから、まあ、どうにかなるだろう。ちなみに、そのアトラクションはすべて中間地点にあるから。最期だけはランドセルを受け取った地点からって言うことで、白線が引いてある」

先生は、最初から最後までプリントを見ていた。

「つまりは、みんなで好きに選べって言うことだな。まあ、適当に話し合ってくれ」

先生はそれだけ伝えると、プリントを見ていた。

幌たちは、男女一組になって、どうするかを話し合い、それから全体で集会を開いた。


「…どうする?」

幌が琴子に聞いた。

「せやなー…うち的にはお姫様抱っこが一番やねんけど…ぐるぐるバッドだけは勘弁やな」

「どうして?」

幌は自然に聞いた。

「やって、目が回ってしゃーないやんか。そんな状態で走れってか?アホかいな」

琴子は幌に言った。

「でもさ、それだったら、みんなそう思ってるのじゃないかな…」

「アカン。絶対アカン。ぐるぐるバッドははずしてもらい」

琴子は強く言った。

幌は伝えた。

「分かった。とりあえず、みんなに言っておくよ」

琴子は、ズイッと近づいていった。

「アカンで。ちゃんとそのことを言うって言わへん限り、あんさんは…」

幌は死を覚悟した。


話し合いが終わると、代表が集まって順番を決めることになっていた。

幌は、その話し合いに出かけた。

そういっても、ただ反対方向向くだけだった。


「で、どうなの?」

「えっと…」

男女比率が同率のこの話し合いは、平行線をたどった。

全員がぐるぐるバッドを避けていた。

玉入れか抱っこの二つだけが選ばれていた。

「…さて、これからどうするかだ…」

幌がつぶやいた。

そのとき、一人の女子が手を上げた。

「いいじゃん。じゃんけんしたら」

一同からクレームがついたが、一方的にはじめた。

「さーいしょーはグー。じゃけん、ポン!」

幌は、じゃんけんに勝った。

「やった!」

そう言って、琴子は幌の後ろから抱きついた。

「なっ!」

周りは、一気にざわめいた。

一瞬で冷静になった琴子は、顔を真っ赤にして、下を向いていた。

幌からは離れたが、それでも、まだ抱きつきたいようだった。


家に帰ると、桜が先に帰っていた。

「おかえり」

「ただいま」

靴を脱いで、かばんを部屋に置いて制服を着替えてから、幌はソファーに座った。

すぐ横で、桜がニヤニヤしている。

「…なに?」

幌はため息混じりに聞いた。

「今日の体育のときのこと。どんな関係なの?」

「どんな関係って…単なる友達さ」

「うっそだー!だってさ、体育の授業中に突然抱きつくなんて、そんなこと普通の友達がするとは思えないよ」

幌は、うつむき加減に答えた。

「…そうかもしれない」

桜は急に真剣な表情になって、琴子の事を伝えた。

「あの子、本当は幌のことが好きなんだよ」

さらっと言ったその言葉に、幌は耳を疑った。

「…本当に?」

「本当よ。姉ちゃんがうそついたことある?」

幌はぼそぼそ言った。

「…富士山よりも多いかと」

その言葉は華麗に流されて、そのまま続いた。

「琴子は、夏休みの最後に泊まりに来たでしょ。あの時、そう思っていたの。あの時ぐらいからかな?幌も琴子の事がすきなんじゃないかって、そう話すようになったの。あのときの幌は、不自然だったからね」

「…あのときの気持ちは、単なる善意以上のものって、知っていたの?」

幌は桜に言った。

「そう…でも、その気持ちは向こうも気づいている。問題はきっかけよ。体育大会の後なんて、絶好の機会よ」

桜は、いろいろな妄想…もとい想像が広がっているようだった。

しかし、当の本人たちは、その想像に気づかなかった。

「そういえば、姉ちゃんはどうなったの?」

「私?綱引きと2人3脚よ。2人3脚は、最後から2番目ね。内側が私だから」

「いいポジションをゲットできたって言うことか…」

幌は、どのような手を使ったか分からないが、想像することをやめた。

そして、立ち上がると桜に聞いた。

「今日のご飯、まだ決めてないんだ。何がいい?」

「ミートボール!」

幌は材料を確認に冷蔵庫へ向かった。

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