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第332巻
それから当日となった。
伊丹空港へは、一番最初に教員が着いた。
「さて、最初はだれが来るかな……」
着いたのは、伊丹空港からほど近いところに家がある桃井春井だ。
情報部顧問の彼は、今年の3年生の学年副主任も兼ねている。
とはいうものの集合時間の1時間前に来るのは、当人も早すぎたと考えているようだ。
持ってきていた文庫本をカバンから取り出して、ゆっくりと近くのベンチに座って、読み始めた。
「おや、桃井先生」
その声を聞いて、本の途中に紐のしおりをはさみこみ、顔をあげた。