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第324巻
「誰か入ってくれないかなぁ」
放送室では、部長の文版がだれていた。
「誰か来るまで待っておかないとな」
文版に答えているのは、宮司だ。
「ま、のんびりと待っておこうよ」
豆見がのんびりと言った。
「でも、私たちも3年生だから、誰も入って来ないと休部だよ?」
「そんときは、そんときさ」
宮司が簡単に言った。
それに文版が反論しようとした時、放送室のドアが開いた。
「あの……」
「どうしました?」
豆見が中に招き入れて、彼女に聞く。
「入部希望なんですけど」
「おや、さあさ、中に入って」
誰よりも驚いているのは文版だ。
入部希望の彼女を椅子に座らせる。
「放送部、ですよね」
「そうだよ」
宮司が聞く。
「名前は?」
「あ、神川歩美です。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくね」
文版が微笑みかけながら歩美に言った。