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第317巻
鈴は、静かに目を覚ました。
そして、サイドテーブルに置いてある置き時計を見る。
樹齢300年という古木の楠から作られた置き時計は、ちょうど午前7時を示していた。
いつも通りの起床時間だ。
それから、わずかな時間、今日の予定をベッドに寝転がったまま思い出す。
今日は4月2日、学校はまだ始まらない。
ーそういえば、今日は山門とデートの約束があったはず。
鈴は、思い出すとベッドからもぞりと立ち上がり、携帯で確認した。
山門から、1通のメールが来ていたが、それは今日のデートについての話だった。
「午前10時ね。じゃあ、準備しないと」
鈴が独り言をいうと、すぐに着替えに取り掛かった。