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第309巻
そして終業式の日。
幌の話通り、誰一人として、今年は赤点者を出すことなく、年度を終えた。
「いやぁ、本当でよかったよかった」
教室で、幌の席のすぐ前に立って、山門が話している。
「確かにな。全部で11単位までセーフなんだろ?」
「そうそう。去年の追試で合格したから何とかなってるけどな」
星井出の話に、山門が答えた。
「んなこと、どうでもいいや」
とにかく無事に通れたことが嬉しかったようで、山門が話を無理に終わらせた。
「今日って、料理部ってするのか?」
「いや、今日はもう帰って寝るよ。してほしいのか?」
「しないなら、いいや」
幌へ確認をしたが、あっさりと山門は言った。




