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第308巻
3学期はそのまま終わりを迎える。
「さて、今年一年、どうだった?」
幌が家で桜、山門、琴子と一緒にいた。
「大変だったね。特に、幌が」
山門が幌を見ながら言った。
「そうだな……」
たしかに、大変そうだったが、それは全て終わったことだ。
「でも、来年度はうちらも大変やで」
琴子が3人に言う。
「受験だもんね」
桜が答えた。
「受験なあ…」
幌は遠くを見つめながら言った。
「どうなるかは、よく分からないなあ。まだ、かなり遠くのことだと思ってたし。それよりも、今年は無事に全員が赤点なしみたいだからよかったよかった」
「あれ、そうなの?」
幌が言ったことに、桜が聞き返す。
「らしいよ。偶然、職員室の話を聞いちゃったんだけどね。2年生に赤点者がいなくて良かったって話だったから」
「なら、今年は追試を受けなくていいんだな」
ホッとした表情で言っているのは、去年に追試を受けた山門だった。
「ま、本当かどうかは、通信簿返される時に分かるだろ」
幌が言うと、椅子から立ち上がった。
「そう言えば、昼ご飯の準備整ってるけど、食っていくか?」
「もちろん!」
すぐに琴子が答えた。