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女子高と男子校  作者: 尚文産商堂
2年生3学期
307/688

第307巻

3学期の後半、卒業式が行われた。

料理部には、なぜかいろんな部活が入り混じっていた。

幌の噂を聞きつけて、打ち上げのご飯を作ってもらっていたのだ。

「去年よりも多いねぇ」

のんびりとした口調なのは、卒業した原洲だ。

「部長はゆっくりとしといてくださいね、今日は部長が主賓なんですから」

幌がフライパンをあおりつつ、調味料を的確に目分量で入れていた。

「しかし、卒業って感じがしないなぁ」

原洲がぼんやりと言った。

「確かに、いなくなるって感じがしませんね。なにかにつけて遊びに来そうですし」

「そりゃ、幌の飯が食えるのなら、火の中水の中」

「そんなところでご飯は作りません」

幌ははっきりと言った。


それから30分、チャーハンや唐揚げやてんぷらやお茶まで揃えたら、その場にいた全員にいきわたるようにした。

なにせ、噂を聞きつけたアニメ研究部と運動部以外の部活がそろったのだ。

そのせいか、お皿が足りなくなっていたが、紙のお皿を買ってきてなんとかしていた。

在学生を代表して、公安部の部長になった氷ノ山が卒業生たちに話した。

「卒業、おめでとうございます。公安部次期部長の氷ノ山亜紀留です。卒業をしていく先輩方がいなくなるのは、寂しさ限りないですが、いつでも遊びに来て下さい。では、乾杯!」

乾杯と言っても、幌が入れたお茶だ。

「かんぱーい」

声が飽和して、部屋中に響き渡る。

それが鎮まるよりも速く、誰もが幌のご飯を食べ始めた。


それから1時間、すっかり寂しくなった料理部の部室では、原洲も手伝って後片付けをしていた。

「…卒業ですか」

「そうだね」

幌が静かに原洲に話しかける。

「…いつでも来てもいいですからね」

「分かってるさ」

「とはいっても、余りこられ過ぎても困りますけどね」

笑いながら、幌は原洲に言った。

「そうだな」

原洲も笑いながら答えた。

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