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女子高と男子校  作者: 尚文産商堂
勉強合宿編
3/688

第3巻

第4章 勉強合宿


翌朝、幌は桜の分の朝ご飯も作って、先に学校に出かけた。桜は、その1時間後におきた。


「あれ〜、幌がいないな〜」

桜がぼんやりとおきると、すでに、幌は出かけた後だった。時計を見ると、午前7時を少し回ったころだった。

「ああ、そうか〜。幌は、先に合宿に行っちゃったんだね。男の子って、大変なんだね〜」

そして、桜は、台所を見ると、幌が作った朝ご飯が、置いてあった。

「お、ちゃんと作ってくれてる」

桜は、そのまま座り、ご飯を食べた。

(そう言えば幌は、もう出発している頃だよな〜。大丈夫なんかな)


幌は、そんな桜の心配をよそに、バスの中で眠りこんでいた。3時間かけてのバスの旅で、途中に休憩が2回ほど入るだけで、残りは、全てのバスの中と言う事になっていた。

「やってらんないよ」

幌のすぐ横に座った、永嶋山門が言った。

「でも、しなきゃならないんだろ?」

幌が目をつむりながら言った。永嶋が返した。

「そうだから、こうしてここにいるんだ。もしも、そんなことしなくて済むんなら、こんなところにいないよ」

「そう言えば、女子高側も今日出発して、ほとんど同じ日程なんだろ?」

「そう言えば、そんな事もいっていたような気がするな〜」

後ろの方から、そんな声が聞こえてきた。

「そんなところに転がり込んでいたんだな」

「遅刻しなかったんだな、星井出包矛(ほしいでつつむ)

星井出が、幌に言った。

「中学校のころからずっと一緒だもんな」

「こちら側は、腐れ縁だと考えているがな」

幌は言った。

「そんな事言うなって。な?」

「かと言っても、やっぱ、遠いよな〜。この県の北部にあるんだってな?」

「そうだよ。高校から、4時間弱かかるんだからな。ここから、後…」

幌は、腕時計を見た。

「2時間と30分ぐらい」

「果てしなく長い道のりだ〜」

「がんばらないと。どんなところでもな」

「うげ〜」

星井出は、そのまま後ろに下がって見えなくなった。

「さて、俺も寝るよ。ついたら教えてくれ」

「はいよ」

幌はそのまま、窓に身をもたらせるような形で、眠りに落ちた。


それと時を同じくして、女子高ではバスが発車したところだった。

「やれやれ、ようやく発車したのね」

とても眠そうに、あくびをしながら、桜は言った。

「でもね、桜さん、時が経てば必ず出て行くものですよ?」

桜の横の椅子に座っている、明らかにお嬢様と分かる山口鈴(やまぐちりん)が言った。

「そうだけどね…」

「そう言えば、桜さんは、どうして、ここの高校に入ったのですか?」

「ああ、どうしてか?」

「そうです」

「さ〜てね〜。やっぱり、近かったからって言うのが、一番の理由だね。それに、結構いろいろなところに先輩が出て行っているからね」

「なるほど」

「じゃあ、山口の入学理由は?」

「わたくしですか?わたくしは、親の強い要望がありましたの。それが理由ですね」

「…それだけ?」

「いいえ、もうひとつ理由があります。わたくしの家系は代々、私学出身です。しかし、わたくしの学力がその私学に達していなかったために、やむなくこの高校にしました」

「そっかー。まあ、確かにプレッシャーはかかるわね。そんなに、期待されているんでしょ?」

山口は、ちょっと顔に影がかかったように見えた。しかし、すぐに消えた。

「ええ、確かに、プレッシャーに弱いので、大変でした。しかし、両親は、たまには、こんな子供が家系から出ても構わないだろうと、そう言いまして、入学を許可してくださったのです」

「なるほどね〜」

桜は、そう言って、いろいろな世間話を始めた。そうして、バスは、合宿先へと何の障害物も無く、走り続けて行った。


第5章 到着


先に出発していた幌達の方が、先に到着するのは当たり前の話で、さらに、それから遅れる事1時間半。桜達のバスが合宿場所に到着するのも、考えてみれば当然の事だった。


桜達が降りて着た時には、すでに幌たちが荷解きをすましていて、昼食を食べているところだった。


「ねえ、どんな子が好みなの?」

桜が、山口に聞いた。

「それは、恋愛対象という事と取っていいのでしょうか?」

「そうよ〜。他に何があると言うの?」

「わたくしには分かりかねます。そのような事は考えた事も無かったので」

「あ、そう。そりゃそうか。さすがに、お嬢様だものね。こんな合宿に参加する事自体が、初めてじゃないの?」

「いいえ、そんな事はありません。小学校の修学旅行や林間学校。それに、中学校に入ってすぐにあったオリエンテーションを兼ねた合宿にも行かせてもらいました」

「ふ〜ん。なるほどね。じゃあ、枕投げとかは?」

「わたくしは見ているだけでしたが、枕は頭の下に置くもの。あのように、投げるような事は、わたくしには出来かねます」

「そうか」

桜は、山口と一緒の部屋になっていた。5人部屋で、残りの3人は、後ろの方で、大きな荷物を持ってふらふらしていた。

「やれやれ、先に行きましょ」

「そうですね」

彼女達は、そのまま、狭い急な階段を上がって、彼女達の部屋に向かった。

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