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第297巻
冬休みに入った。
「冬休み、どこ行く?」
さっそく家で桜が幌に聞いている。
「冬休みは父さんたち帰ってくるだろ。それからだな」
「えー、どっか行きたいー」
「大阪ぐらいじゃねえかな」
幌が桜に答えるが、あまり乗り気じゃないようだ。
「それよりも、宿題はどうなんだ」
「宿題…ねぇ」
遠い目をする桜に、幌はさらに追い込む。
「やってないんでしょ」
「…だって、量少ないんだもん」
「じゃあ、俺の分でもやるか?」
「それは嫌」
「……はっきり言うな、おい」
ため息をつきながらも、幌は桜の前に座って、宿題を始めた。