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第290巻
「…いま、なんと?」
パンプキンパイを食べながら、部長が発した言葉に、幌は聞いていた。
「部長は、お前に任せるっていうことさ」
「ま、予想しとったけどな」
幌の横で琴子が平然と言う。
匂いにつられてやってきた面々は、気にせずに食べ続けている。
「今日で俺も引退だし、みんなの前で行った方がいいだろうと思ってな」
原洲が幌に言いつつも、余っているパンプキンパイはなくなっていく。
「確かに、俺が一番うまいと思いますけど。それで俺に部長をしろと?」
「そういうことになるな。ともあれ、ガンバレ」
ポンポンと肩をたたくしぐさをして、原洲は手に持っている残ったパイを一口で食べた。