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第285巻
「危ない!」
氷ノ山が叫んだ時には、すでにバッドは脳天めがけて全力で振り下ろされている。
誰もが最悪の予感をした。
男は勝ったと思い、笑ってすらいた。
だが、その笑いは、すぐに恐怖へと変わる。
「……やったわね」
時速100kmほどで振り下ろしたであろうバッドを、いともたやすく素手でつかんでいた。
そして、金属バッドを、おもちゃのように砕いた。
「ねえ、あなた」
その時、氷ノ山へと金内が聞く。
「この男ら、全員を伸ばしちゃってもいい?」
「ええ、私もそのつもりだったんだけど」
「そ。でもいいわ。これで私は心置きなく戦える。ありがとう」
それは、彼らの終焉を意味していた。