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第283巻
言われた場所に幌がつくと、明らかに髪を染めて、ピアスだらけも男たちが、10人ほどいた。
壁際を見ているが、その視線の先には、琴子がいた。
「こら、やめんか!」
幌が言うよりも先に、後ろから女性も声が聞こえる。
「あぁ〝?」
ドスの聞いた声で答えて、彼らの一人がこちらを振り向く。
手には釘バッドやバールのようなものも持っている。
「手野市立高等学校公安部 氷ノ山。その子を追い詰めるのは止めなさい!」
「んだとこらぁ。おめえは、俺らが手に持っているのが見えないんか」
「そのチンケなもののこと?」
指をさしてせせら笑う。
それを見た彼らは、切れた。
「おっしゃ、まずはお前を血祭りじゃぁ」
その一瞬、琴子から注意がそれた時に、幌は琴子へと近寄った。
「こっち」
そして校舎をぐるりと回り込み、反対側へと逃げた。
それを確認してから氷ノ山は、ボクサーのように構える。
だが、予期せぬ客は、常にやってくるものだ。
この緊張感の中、のんびり声をかけてくる人がいた。