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第280巻
「いらっしゃーい」
琴子が呼び込み、幌が作り、他が品物を受け渡したり、お金を受け取ったりしている。
「はい、パイは200円です。あ、4つですか、ありがとうございます」
琴子が、ここ一番の頑張りを見せて、次々と客をさばいていく。
パイはパンプキンパイだ。
大きさは手のひらにすっぽり入るぐらい。
ちいさいからか、5分もあれば焼き上がる。
「まいど」
そこへやってきたのは、琴子の友人だ。
「あら、今は忙しいんやけどなあ」
琴子嫌な顔一つせずに応対する。
「行ってくればいいさ。最初のダッシュもそろそろ終わりだしな」
原洲が困ってる琴子にいう。
「ほんまですか。ほな、行こうか」
琴子が友人の女子に話しかけ、そのまま店を出た。