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第270巻
その日の夜。
幌はメニューの試作としていくつか作ってみた。
もちろん、試食人は桜だ。
一つのメニューであっても、複数のアプローチがある。
その中で、一番合っているのが必ずあるはずで、それを確かめるためだ。
桜が食べつくしてから、一つ一つについて、講評をした。
「うーん、こっちの香草焼きは、少し塩がきついかなぁ」
「ふんふん、じゃあ、このパンプキンパイはどうだった」
「こちは甘すぎな感じ。それに、ちょっとなめらかさが足りないかも」
桜が幌からの言葉に、答えていく。
「じゃあ、砂糖をちょっと減らして、クリームを多くしてみよう。ありがと」
メモを取りながら、幌が桜に答えた。