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第267巻
「それで、料理部の部長は、やっぱし幌なのか」
図書室で、静かに会話をし続ける幌たち。
雅が、普通に幌へと聞いた。
「そうなるな。仕方ないだろうけどな」
料理部の2年生は、幌と琴子だけだ。
琴子よりも幌の方が料理がうまいのは周知の事実。
とすれば、料理部の部長は、料理が上手な方がいいだろうから、幌が部長になるのは自然な成り行きだろう。
「姉ちゃんよりかは、うまいだろうさ」
雅が幌に言った。
ちなみに、雅は琴子の双子の弟にあたる。
その会話以来、図書館は、鉛筆の走る音だけが響く空間となった。