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女子高と男子校  作者: 尚文産商堂
2年生体育大会編
263/688

第263巻

「よーい…」

パンとピストルの音がグラウンドに鳴り響く。

一斉に走り出す8人のうち、一人が幌だ。

バックではミュージックが流れているが、幌にはきっと聞こえていないだろう。

全力で、すぐ目の前にいる1位走者に食らいつこうとしている。

そのスピードは、徐々に速くなり、そして、ピタリと一致する瞬間が来た。

遠くから、誰かが叫ぶ声が聞こえたような気がすると、幌は心のどこかで感じていた。

ゴールテープまであとわずか。

その刹那、幌は全力を出した。

すぐ横には誰かがいる。

息が喘ぐ。

呼吸もままならない。

目の前がかすむ。

ただ、もう一歩。横よりももう一歩前へ。

幌は、それだけを願った。

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