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第262巻
午後が始まった。
午後は決勝戦が目白押しだ。
「幌は、何に出るんやったっけ」
「200m走。しかも、運よく決勝まで行けたから。もうちょっとしたら出ていかなきゃな」
生徒応援席で、適当に並んでいる学年の中で、幌は琴子と一緒にいた。
弁当箱を片づけながら、わいわいがやがやとみんなと一緒にいた。
「せやせや、勝ったらな、何かお祝いせなあかんな」
「勝てる自信はないけどね」
簡単に笑う幌に、真剣な表情の琴子。
「ほな、あれやな。もしも幌が勝ったら、わてが何かこさえたるわ」
こさえるというのは、何かを作るということだ。
「いいよいいよ。大丈夫。でも、ありがとう」
そう言って、幌は弁当箱を持ってきていたリュックにしまい込んだ。