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第259巻
体育大会当日となった。
「今年も、この季節かぁ…」
保健係は去年と変わらず、のんびりとしていた。
先生はどこかへ消えていて、おそらくトイレだろうということになっていた。
「暇なのが一番ですけどね、それにしても暇すぎますよ」
笑いながら、今年も保険係になった、3年生の坂上と2年生の川上が話していた。
二人とも、去年の体育大会の日に付き合うようになった。
「今年は熱中症は起さないでくださいよ」
川上が坂上のすぐ横のパイプ椅子に座りながら言った。
「わかってるって。大丈夫だから。心配しすぎだよ」
坂上が川上にこたえる。
今年は、去年の二の舞にならないように、冷たいスポーツドリンクのペットボトルを持っている。
これで大丈夫と言っているようで、チャプチャプと揺らしながら坂上が川上に見せつけていた。
「じゃあ、きっと大丈夫ですね」
そういいながら、テントの日陰の中で、保健係として、体育大会の状況を見守っていた。
何かあったらすぐに駆けつけられるように。