258/688
第258巻
練習が終わると、幌と沢入は料理部へ、残る二人もそれぞれの部活へと向かった。
「こんにちは」
がらりとドアを開けると、原洲と琴子が二人だけで本を見ながら何かを作っていた。
「やっときた」
体操服から制服に着替えた幌と沢入を迎えて、原洲たちがすぐに本のところへ連れてくる。
「幌がいないと、なかなか作れなくてね」
幌は本を渡されて、みんなと一緒に見た。
「これを作れって?」
そこにはパステル・デ・ナタと書かれている。
簡単に言えば、エッグタルトだ。
カスタードクリームが入った、手のひらサイズのタルトのことをいう。
「作ってくれると、うれしいなぁって思うんだ」
琴子がジッと幌を見た。
幌は、フッと笑うと、本をたたんで材料を探し始めた。