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第257巻
体育大会の1週間前から、グラウンドは騒がしくなる。
通常の運動部の部活動ではなく、練習用として開放されるからだ。
「あ、先輩、こっちです」
実戦形式で練習をしたいということなので、幌が後輩の沢入をよんだのだ。
「えっと、君は……」
幌は沢入の横に立っている女子について聞いた。
「私の幼馴染の及川夏澄です」
及川はペコリとお辞儀をして幌をじっと見ていた。
「俺の横にいるのが、今回、二人三脚で一緒に走ることになった河澄沖緒だ」
互いに紹介が終わると、実際に走ってみるということで、足首にひもを巻きつけて、別の練習の邪魔をしないように、走り出した。