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第242巻
水着売り場は大盛況だった。
「やっぱし、大騒ぎだね」
桜が、鈴に言った。
「仕方ないですね…」
鈴は、すぐそばにいた店員のところへ近寄って、自分の名前を言うと、顔色を店員は急に変えて、どこかへと走っていった。
「…どうしたの」
追いついた男子一同が、氷ノ山に聞いた。
「ああ、この人だかりを見て、鈴が店員に何か耳打ちしたんだけどさ……」
2分とかからずに、スーツ姿の男性が鈴に駆け寄る。
「お待たせいたしました、山口様。どうぞこちらへ」
「どうもすみません」
鈴が少し頭を下げると、大慌てでスーツの男性がお辞儀を返す。
「いえいえ、今後ともごひいきに…」
それから鈴が歩いていくので、幌たちは慌ててその後ろを追った。