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第234巻
桜が部室へと入ると、すでに、他の部員がいた。
「おや、みんな揃ってんだ」
先輩も後輩もいないため、部員3人が、のんびりとしているだけだ。
「ああ、こいつらの整備しとこうと思ってな」
島永が、この前の日食のときに告白をして、付き合いだした澤井と荷物を運びながら言った。
「夏休み中も、何度か来るけど、使わない資材とかもあるからね」
澤井が桜に言う。
「仕方ないけどね。夏休み中とは言っても、どうしても夜に観測するしかないから」
「天文部の宿命だけどねー」
澤井が笑いながら言った。
「そういえば、二人は来る?」
「どこに」
「海。夏休み中に海に行こうって話になっててね。どうかなって」
「行けたら行くよ」
「分かった」
桜は島永の返事に、簡単に答えた。