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第232巻
料理部へ戻ると、琴子が幌に聞いた。
「なあ、星井出のやつ、なんの相談やったんや」
「ああ、夏休みにどこかへみんなで出かけないかだとさ。海とか、山とか」
「ええなぁ。いけたら行くわな」
「一応メールか電話かするし、たぶん、姉ちゃんからも連絡行くと思うけどな」
幌はそういって、料理の最後の仕上げをした。
「せやったらええなあ」
「そうにきまってるさ」
幌が琴子に言った。
「せやったらええなあ」
あきらかに未来への羨望が、見てとれる声色で、琴子がつぶやいた。