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第216巻
琴子は、幌に言った。
「まあ、久しゅうしてへんかったっていうことは、そういう機会もあらへんかったっちゅうことやろな」
「そうだね、まあ、これからもいい友達でいれたらいいね」
幌が、鈴と山門を、人影から見える範囲で見つめながら言った。
「せやな、まずはお友達からやろな」
「まずは?」
その幌から琴子への質問は、大阪駅にもうすぐつくという車内放送に掻き消された。
それに、鈴たちが動いたというジェスチャーとメールが、雅から幌たちへと送られた。
「降りようか」
「せやな」
幌と琴子は、ドアが開いて数秒してから、電車から降りた。
すぐに、雅と桜と合流して、鈴と山門の追跡に戻る。