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第215巻
電車がゆっくりと動き出す。
鈴と山門は、仲良くおしゃべりをしている。
そこから6メートルぐらい離れた扉にもたれながら、うまく人影に隠れつつ、雅と桜が見ている。
さらに、鈴たちとは反対側になる扉には、幌と琴子が座席に座っていた。
「どこに行くつもりなんだろう…」
「せやなぁ、このあたりやったら、やっぱり、大阪ちゃうやろか」
「やっぱりそこだよな…」
静かに話している幌と琴子。
「そういやさ、こうやって二人で座るっていうのも久々のような気がするな」
「せやったか」
笑っている琴子が、幌に答えた。