212/688
第212巻
いよいよデート当日となった。
「なあ、なんでうちらこんなことしてるんや」
「しぃ。ばれるって。小声で」
待ち合わせ場所から離れたところで、雑誌や帽子やフードで顔を隠しながら、鈴と山門を見ている面々がいた。
桜、幌、琴子と雅だ。
「二人がちゃんとデートしているかを調べるんだよ。それが目的だろ」
熱い紅茶をすすりながら、幌が琴子に言った。
「そういや、そんなこともゆうとったな」
琴子が忘れたように言った。
「しぃ、二人とも。鈴の登場だよ」
既に到着していた山門を見張っていた桜が、話していた琴子と幌に言った。
「いやぁ、にこやかだね」
雅が二人の様子を見ながら言った。
「あのカバンの中に、きっとお弁当が入っているんだろうな」
幌が、山門が持ってきた肩掛けカバンを見ながら言う。
鈴も、かわいらしい小さな手提げかばんをもってきていた。
アップリケもついている。
「あのカバン、『familiar』ブランドだね」
桜が3人に言った。