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女子高と男子校  作者: 尚文産商堂
犬の散歩編
204/688

第204巻

11時半になり、青山さんが夫婦でやってきた。

「やあ、お疲れ様。これがお土産だよ」

「ありがとうございます」

青山さんの姿を見た瞬間、ソラが家の中から飛び出した。

「アッハッハァ。そうかそうか、寂しかったかぁ」

その顔は、とても輝いているように見えた。


ソラがいなくなった家の中は、物言えぬ寂しさが漂っていた。

「…いなくなっちゃったね」

「そうだな」

皿を洗っている幌の背中を見ながら、桜がつぶやいた。

「仕方ないさ、預かり犬だったんだからな。いつかは、本当の飼主に返さなくちゃいけない。それは分かってたことだろ」

桜は、皿を洗い続けている幌をじっと見ていた。

同じ皿を、何回も洗い続けていた。


「ま、考えてても仕方ないや」

桜は、何かを吹っ切れたようにして立ち上がった。

「それでぇ?テストの結果は帰ってきたのかなぁ?」

幌は桜にすぐに問い返す。

「大丈夫、帰ってきた分は、全部クリアしてるから」

「えー、つまんなーい」

「つまんないじゃない。ちゃんとクリアできたんだから、もうテストのことは考えなくてもいいのさ」

「じゃあさぁ?」

桜がようやく皿を洗い終わって、乾燥棚にしまっている幌の背中に、自然ともたれかかって見せる。

その体を、テシッと回りながら手で払いのけながら、自室へと戻った。

「…相変わらずだなぁ」

桜は、パタンと閉まるドアを見て、そう呟いた。

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