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第196巻
6月の末の土曜日、青山さんのところへ桜と幌が向かった。
といっても、歩いて15秒ほどのところだ。
桜がインターホンを押して、青山さんを呼んだ。
「おお、来たね」
ニッと笑って、ラフな格好で彼は出てきた。
後ろには奥さんが立っている。
「犬を、預かりに来ました」
「うん、よろしく頼むよ」
リードをもって、桜に青山さんは犬を引き渡した。
「おーよしよし。よろしくね」
幌は、さっそく頭をなでていた。
「そう言えば、この子の名前は」
「ソラだよ。ご飯は、これ。水は水道水を使ってくれたらいいから」
「分かりました、では、お気をつけて」
幌が青山さんが、ドッグフードが入った袋を2つ幌に渡した。
「きっかり150gを一日に2回。それでいいからね。水は日に2回ほど替えて。なくなったら適時追加を」
「はい、分かりました」
そして、青山さんは、あらかじめ呼んでいたタクシーに夫婦で乗り込み、幌と桜は、それを見送った。
二人は、犬を連れて、家へと戻った。