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第180巻
「あ、おいしいです」
桜川がそう言って、幌が入れたお茶をすすった。
「だろ、今回は、麦茶にちょっと隠し味を入れてみたんだ。ほろ苦い味が舌の上で踊ったと思うと、さっと一瞬でそれが清涼感へと変わるっていうことに挑戦したんだ」
「ほろ苦いのはわかりますけど、あまり清涼感は来ないですね…でも、この苦さ、嫌いじゃないですよ」
桜川が幌にそういった。
「よかった。じゃあ、これもレパートリーに付け加えておこう」
幌は近くに置いてあったノートに、今回の麦茶のレシピを書き加えた。
一息ついてから、桜川は桜の元へ戻り、続いてグラフィックボードを持ち上げた。
「次はこれをつけます」
「これも、専用のスロットがあるのね」
「ええ。専用というか、規格で定められているものがあるので、そこに挿します」
言いながら箱から出して、丁寧な手つきでマザーボードに差し込んだ。