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第150巻
夕食を食べ終わると、幌は自室に戻らず、そのまま台所の片づけをしてから居間のテーブルで公民をし始めた。
「えっと、現代社会か」
「国会とかー?」
「まあ、そんなところ」
前で古文をしている桜が幌に聞く。
「現社って、どんな問題?」
「俺に聞いても仕方ないだろ」
「えー。だってさ、なんか気になるじゃん。先生は違っても問題は同じだしー」
「そうなの」
幌は目線を教科書から離して、桜を見た。
「そうよ。知らなかったの」
「知らないさ。そんなこと聞いたことないよ」
そこで、幌はピンときた。
荷物をまとめると、どこかへ電話をかける。
「ああ、一緒に勉強しないかと思ってな。この土曜日、開いてるか?…そうか。ああ、分かった。じゃあ、10時に校門ところで」
そこで電話を切った。
「誰にかけたのー?」
「友達さ」
桜の言葉に、一言だけ言った。