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第145巻
第147章 帰国[6]
1週間後、桜、幌、琴子、鈴と原洲は料理部の部室にいた。
「あーあ…」
「どうしたの」
桜がため息付いているところに、鈴が話しかける。
原洲は少し離れたところで、フライパンを片付けていた。
「アクサンと会いたいなーって」
「メールが来てたでしょ。イギリスに無事についたって」
鈴が桜に話しかける。
「そうそう、あの5円玉も着けてくれた写真も送ってくれたし」
幌が桜に言う。
「でも、なんか寂しくない?」
桜が言った。
「たしかにねー。今まで一緒にいた子が、急に居なくなるもんね」
細く長い溜息を、鈴がつく。
「そうは言ってられないだろ」
原洲がフライパンを片付けおわり、幌の横に座る。
「これからテストだろ。あと2週間だっけな」
原洲が容赦なく現実へ引き戻す。
「思い出したくないから、思い出に浸ってたのにー」
桜が文句を言うが、時間は何もしなくても勝手に流れていく。