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第141巻
第143章 帰国[2]
「ごめんねー、荷物まとめるのに時間かかっちゃって」
氷ノ山が、皆に詫びる。
「大丈夫。時間はまだあるから」
桜は携帯の時計を見ながら言った。
「それじゃ、乗り込んでください。ここから関空までは約1時間半を予定しています」
鈴が流暢に説明をする。
「じゃ、お邪魔します」
車に乗り込みながら、桜たちが言った。
「…この車、すごいやろ」
車に一歩踏み入れた琴子がつぶやいた。
「どこがー?」
鈴が最後にドアを閉めながら入る。
「やってさ、冷蔵庫、カラオケ機器、シルクの椅子掛け、それに運転手付きやろ。どう考えたって、やばいやろ」
琴子が何度も繰り返した。
「まあまあ」
桜が琴子を落ち着かせる。
「全員乗りましたか?」
運転手が鈴に確認を取る。
「ええ、乗りましたよ」
鈴が運転手に答えると、静かに車は関空めがけて動き出した。