第131巻
第133章 週末旅行[5]
「あー、お土産どうしよ…」
ホテルの部屋の中で、桜は考えていた。
外をぶらぶらと歩いて、ウィンドウショッピングを楽しんでいたのだが、その時、幌や両親へのお土産を考えているのを忘れていたのだ。
畳敷きの部屋で、真ん中には大きめのテーブルが、座った時にちょうどいい高さになるように置かれていた。
その周りは座布団が10枚ほどあった。
部屋の中ではアクサンと桜しかいない。
ほかの面々は、夕ご飯の前に温泉に入りにいっているのだ。
「大丈夫?」
アクサンが、桜の横に座る。
「ああ、弟へのお土産どうしようかなって」
「弟…ああ、幌さんですね」
「そう。あいつ、結構楽しみにしてたみたいだし…」
「私も、イギリスに弟がいますよ」
「ほんと?」
桜はアクサンに問い返す。
「ええ、フィッツジェラルドっていうんです。普段はフィッツって呼んでるけど」
アクサンが桜に携帯画面を見せた。
小さな画面にはプリクラのようにいろいろ書かれた写真が貼られていて、アクサンのすぐ左隣に男の子が写っていた。
「この子がフィッツね」
「そうよ。かわいいでしょ」
携帯の写真フォルダの中にあるフィッツの写真を、何枚も見せる。
「で、フィッツにはお土産っていいの」
「発送してもらうから大丈夫。それにもう考えてあるよ」
アクサンがにっこりとほほ笑みながら、桜に教えた。
「えー、何買ってあげるの」
桜は、お土産の参考にしようと思い、アクサンに聞いた。
「『炭酸せんべい』っていうやつ。珍しそうなものだったからね」
そう言って、袋を見せると、ほとんど同時に鈴たちが部屋に戻ってきた。