第130巻
第132章 週末旅行[4]
「じゃ、行ってくるね」
「はいはい、いってらっしゃい」
幌は見送りのために、玄関にいた。
「帰ってくるのは、明日の夕方ぐらいになるんだっけ」
「それぐらいだね」
幌がきくと、桜が答える。
「じゃあね」
桜がドアを開け、旅行の幕が開けた。
電車とバスを乗り継いで、大阪駅から約1時間かけて有馬温泉にたどり着いた。
「なんか、鉄のような匂いが……」
バスから降りたとたんに、文版がつぶやいた。
「ああ、『金泉』でしょ」
「金泉?」
アクサンが答えた桜に聞いた。
「そ、塩分と鉄分を含んでいる『含鉄強食塩泉』、ラジウムが多く含まれている『ラジウム泉』、炭酸を多く含む『炭酸泉』の3つに分けられるの。このうち、最初の温泉が、空気の酸素に触れると鉄が酸化して赤くなり、それが金色にみえることから金泉、後ろの2つの温泉を、金銭と対比して『銀泉』っていうんだ」
パンフレットを見ながら、桜が言った。
「パンフレットやないか」
琴子が笑いながら突っ込んだ。
「いいじゃん、覚えてもいたけどね」
桜があわてていった。
「へー」
にやにや笑いで氷ノ山が、桜の横から顔をのぞかせる。
「そんなことよりも、どこに泊まるの?」
「ああ、そうそう」
桜が持ってきていたチケットを見てみると、近くのホテルだった。
「さっそく行って、外をぶらついてみましょ」
「さんせー」
鈴が提案すると、すぐにみんなが賛同した。