第129巻
第131章 週末旅行[3]
9時に若干届かない時間に、桜の家のインターホンがならされた。
「はいはいー」
みんなに緑茶を振舞っている幌が、そのまま、玄関へ向かった。
玄関のドアを開けると、氷ノ山と文版がカバンを肩から下げて立っていた。
「おはよう、幌」
「姉ちゃんだったら、居間にいますよ」
「あがらせてもらっても?」
「どうぞ、お茶用意しますんで、こちらで待っててください」
幌が、二人を家へとあげる。
「やあ、お二人とも」
桜がいつも使っている湯呑を持ち上げて、氷ノ山と文版にあいさつをした。
「みんな早いね。どうしたの」
氷ノ山が空いていた椅子に座って、桜たちに聞いた。
「だって女だけの旅行だよ、面白いに決まってるじゃない」
「そうやで、こんなことできるなんて、高校の時や大学の時ぐらいやろ」
琴子が話し始める。
「ええか、高校時代っちゅーのはや、楽しむためにあるんや。そんな時ぐらい楽しまな、損やろ」
「…まあ、損かどうかという話はわきに置いといて、9時になるから、もうそろそろ行きましょうか」
桜が琴子の話を遮ってみんなに聞く。
「その前に、幌のお茶飲んでからでいい?」
氷ノ山と文版が、居間で幌が入れてくれたお茶が入った湯呑に口をつけながら言った。




