第126巻
第128章 留学生[4]
桜達は、アクサンが来た週末の土曜に、調べ物をするために特別にコンピューター部を開けてもらっていた。
「それで、皇室と王室の差についてだったね」
鈴がパソコンをネットに繋ぎながら、その場にいた人たちに聞いた。
「そうそう、イギリス王室と日本皇室について」
鈴のすぐ横に、キャスター付きの椅子に座って桜がいろいろ言っていた。
「そうや、先に聞いておきたかったんやけど」
そんな2人を囲むように、アクサンと琴子が立っていた。
琴子が、すぐ横で面白そうに鈴を見ているアクサンに聞いた。
「何でしょう」
「アクサンって、どこ出身なん?イギリスやっていうことだけは知っとるけど」
「ああ、エディンバラです」
「エディンバラ…どこやねんそれ」
「場所的にはロンドンの北のほう、イギリスの大ブリテン島の北半分を占めているスコットランドの首都になるよ」
桜が琴子に言った。
「さすが、学校トップクラスの秀才やな。ところで、大ブリテン島ってどこや」
「地理はやったでしょ…」
「んなもん、普通の生活に必要なかろうて。ロンドンの位置さえ覚えておけば、なんとかなるやろ」
「そのロンドンがある島のことを、大ブリテン島っていうの。グレートブリテン島とか、単にブリテン島とかいうこともあるわね」
「出てきたよ」
そんな話をしている間に、鈴がいろいろなところから情報を引っ張り出していた。
「『Wikipedia』に『宮内庁』やね。それと『駐日英国大使館』?」
琴子が鈴が表示しているページを見ながら言った。
「ウィキペディアは、広範の情報を集めるために。宮内庁のページは、皇室について調べるために。英国大使館のページは、イギリス王室について載っているかと思ったからだよ」
鈴はそう言って、それぞれのページを見せた。