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第121巻
第123章 家出[4]
山門には、鈴が親と何を話したか言わなかった。
分かっていることは、翌日の朝、山門のベッドにと山門が仲良く寝ていたことだ。
「行くか」
「うん」
開店時間は10時、場所は、山門の家から歩いて20分ぐらいかかるところにある。
詳しい行き方は鈴が知っていたから、山門は鈴と連れだってその洋菓子屋に歩いて行った。
「こっちこっち」
鈴は少し早歩き気味で山門を連れていた。
「早く行かないと、並んでるかもしれない」
鈴がそう言いながらも、途中で赤信号があったり、細い路地で車とすれ違ったりしたために、着いたのは開店して10分ぐらい経ったころだった。
何人かが店の外に並んでいて、中にも10人弱はいるようだ。
「ぎりぎり大丈夫かな」
山門は鈴に言った。
「そうだといいんだけどね」
鈴はその行列の最後尾に並んで言った。