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女子高と男子校  作者: 尚文産商堂
立てこもり編
12/688

第12巻

第17章 再開


次の日、学校には久しぶりの笑顔があふれていた。

「やっと再開か〜」

幌は、教室のいつもの席でだれていた。

「体育館は使用禁止だって。当分の間っていう話だけど、いつまでかは分からないね」

星井出が答えた。

幌の周りには、いつものメンバーが集まっていた。

「そっか、体育の時間が困るぐらいで、ほかは別にかまわないな…」

「放送部は困るよ〜。点検ができなくなるし、わざわざ女子高側の設備を使わないといけなくなるし…」

宮司がぼやいた。

「そうだな。体育の時以外にも、全校朝礼とかは体育館でするからな。その時が困るのか…」

「別にかまわないだろ、幌さ、心配しすぎだと思うぞ」

そう言って、幌に雅がつっこんだ。

「そうかな…」

そんなとき、チャイムが鳴った。


「ほらほら、みんな座れよー」

担任が言った。

「とにかく、みんなが無事に学校に来れた事は、先生としてとてもうれしく思う。だが、あの事件があったからと言って、期末テストの時期は遅らさないからな。残り1か月。みんな頑張れ」

それから先生は、諸連絡をしてから、教室を去った。


再び、幌の周りにはいつもの面々がそろった。

「やばいよ、テスト1か月前とか忘れてたよ」

永嶋が言った。

「幌はすでに勉強しているんだろ?」

「そうだな、もうし始めてるよ。それよりも、ちゃんと日頃勉学にいそしんでいたら、テスト直前になって焦るようなこともないと思うんだけど?」

「う…確かにそうなんだけどさ…」

永嶋がつぶやいた。

「先生の声を聞いていると、催眠術にかかったかのような感じになって…」

「それも分かるけどさ、結果的には、本人の問題だろ」

「それじゃあ、雅は眠くならないのか?」

「当然。眠くはならないね。いつも規則正しい時間に寝起きしていたら、そんな眠気なんて感じないさ」

「眠くなるときは眠くなるっていうことなんだけどね。それよりも、どうやって勉強しよ…」

永嶋がうつむいた。

幌がいった。

「もうちょっとしてから、みんなで勉強会するか…」

「それいいね!」

永嶋は、明るくなった。


第18章 1学期期末考査直前


それから半月後。情報部に申請していた過去問がようやく届き、勉強会をすることになった。

場所は、幌の家だった。


「…ということで、この問題の答えは、X=4、Y=1になるんだ。わかった?」

一応先生役をしていたのは雅だった。

「やばい、全然わからない…」

永嶋が言った。

「これぐらいの2次関数はできておかないと。後々相当使うんだから」

「よくそんなの覚えられるな」

「永嶋こそ、よくそんなに覚えられないな」

「自分は、人生に不必要なことは覚えない主義なんでね」

その時、幌の部屋の扉が開かれて、桜が入ってきた。

「ねえ、入ってもいい?」

「…もう入ってるけどさ。何の用?」

幌が、桜の発言に対して答えた。

「実はさ、私たちも混ぜてほしいなと思って…」

「私たち?」

「女子は女子で集まって、私の部屋で勉強会を開いたんだけど、3人集まっても文殊にはならなくてね」

「ハァー、わかったよ」

幌は、ため息をついてから、居間に移動した。


テスト1週間前。公安部と情報部、及び放送部以外の部活動が停止された。

桜の教室でも、テストの話をしていた。

「テスト一週間前になると、部活動も停止されるからね」

「これまで実感無かったけど、ようやくテストが始まるっていう感じだね」

桜は、すぐ前の席にいる氷ノ山と話していた。

そこに、山口が来た。

「桜さん。少しお時間よろしいでしょうか」

「ああ、かまわないわ。どうしたの?」

「少しばかりお力をお借りしたいと思いまして…」

「山口が解けないような問題って、私にも解けないと思うけど…」

とりあえず、その問題を桜は見た。

「えっと……」

少し考えてから、問題集を山口に返した。

「うん、これは先生に聞くべきだと思う。私なんかよりそのほうがよっぽど優しく教えてくれると思うよ」

桜は、そう返した。

「そうですか、わかりました。では、放課後に聞きに行ってみます」

「そうそう、それがいいよ」


放課後になった。

テスト1週間前になり、勉強に力を入れないといけない時期にもかかわらず、なかなかできないのが実情だった。

「なんで、こんな時に限って他のことばかり考えちゃうんだろう」

桜がつぶやいた。

「よくあることだと思うよ。ボクだって、いつも集中できないけどね」

文版がいった。

「でも、文版は勉強もそこそこできるでしょ。だったら、まだましでしょ」

「そうかな〜。さくちゃんよりはできてないからね…」

「さくちゃんって、どこぞのアニメキャラにそんな人がいたわね…って、そんな事より、勉強はどうなの」

「さっきも言ったでしょ。勉強はそこそこしかできてないって」

「…1週間前になってそこそこって…」

「だったら、さくちゃんに教えてもらおうかな〜」

「別にかまわないけど、それだったらいっそのこと、ほかの人たちにも召集かけてみようか」

「そうね、それが一番ね」

そして、桜と文版は、ほかの友人に連絡を取ってみた。


桜の家では、幌の部屋の中で、すでに男たちが集まって勉強会を開いていた。

「あ、姉ちゃんおかえり」

偶然部屋の外に出ていた幌が、桜が帰ってきているのを見つけて声をかけた。

「ただいま。幌も勉強会?」

「そう。姉ちゃんも?」

「そうよ、後1週間で、駆け込みで覚えようとしているようなんだけど…無事に行けるかしら」

「…ノーコメントということで。じゃあ、俺、部屋にいるから」

「分かった。じゃあ、後で」

幌と桜は、そのまま別れた。


日は過ぎて、テスト前日。

勉強会と言っては集まっていたが、なかなか進歩しているように思えなかった。

それどころか、別の話で盛り上がっている最終日だった。

幌の部屋にて。

「そう言えばさ、あの事件の時、宝物がどうとかいってたよね」

幌が、急に切り出した。

雅がいった。

「ああ、そうだったな。それがどうしたんだ?」

「あの宝物っていう噂が気になって、少し調べてみたんだ」

「で、どうだったの」

幌の話に、みんなが注目した。

「今高校があるところは、昔、金の鉱脈があったっていう場所なんだ。その産出量は、現在の価値に換算して、1年間で約40億円。それを目当てに山賊や盗賊も出たんだけど、彼らは生きて帰ってこれなかったて言う話。それと、その鉱脈は今でも未発掘の部分が多くて、この高校のどこかに扉があって、そこから金を取ることができるっていう話があったんだ」

「じゃあ、あの人たちもそれを目当てに…」

「たぶんね」

「そんなことよりも、さっさと勉強するよ」

星井出が言った。

「はいはい」

そう言って、幌はノートと教科書を開いて問題を解き始めた。

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