118/688
第118巻
第120章 家出[1]
新入部員の勧誘も終わり、5月になった頃、それは起こった。
新緑まぶしいゴールデンウィークの初日。
この年は、休みが5日連続で来る年で、その初日に当たるこの日は、山門もベッドの上でぼーっと眠っていた。
「おにーちゃーん、お客さんだよー」
部屋のドアを妹の華音が山門に言った。
「誰?」
今日の予定を頭の中で考えながら、ベッドから降りた。
同時に、華音が部屋の中に入ってくる。
「おにーちゃんの彼女。なんか半泣きっぽいよ」
そう言いながら、華音が鈴を山門の部屋に泣いていたと思う表情の鈴を連れてきた。
「どうしたんだ」
「ケンカしちゃったの」
「私はもどるからねー」
華音は鈴をおいて、山門の部屋から出て行く。
ついでにドアを閉めていった。
ベッドに鈴を座らせ、ティッシュを近くにおいて山門は輪の横に座った。
「何したんだ、ケンカって」
「えっと、かなりアレな話なんだけど…」
鈴は、山門に、ケンカをして家を出た理由を語りだした。