第117巻
第119章 仮入部期間[4]
公安部は、情報部の部屋を間借りするということで、カーテン1枚隔てて机を並べていた。
「さて、入学おめでとう」
公安部部長になった荒田卿弥が、新しく入った部員に部の説明をしていた。
「単純に言えば、この公安部は、ケンカとかがあれば、真っ先に出ていかなきゃならない部活だ。高校の敷地のすべてのところで、警察に代わる権力がある。まあ、情報部についても、似たようなことなんだが、彼らは情報分析が専門だ。こっちのように実力部隊じゃない」
「その話は、入学前に聞いてました。私の兄が今2年生にいるので」
「そうだ、報告書に名前を書いておきたいから、名前を言ってもらっていいかな」
「あ、はい」
荒田部長が、新入部員の女子に言った。
「えっと、佐谷沙耶です。よろしくお願いします」
「氷ノ山亜紀留です、これからよろしく」
「まあ、部長の俺は言わなくても名前を知ってるだろ」
「荒田部長ですよね」
佐谷が、荒田に聞いた。
「そうそう、まあ、詳しい部の内容については、おいおい話すとして。氷ノ山、すまないけど情報部の一行を呼んでくれないか。今日はお菓子パーティーとしようじゃないか」
荒田が自身のカバンの中から近くのスーパーの大きめの袋を取り出し、中に入っていたお菓子を机の上に並べた。
それを見ていた氷ノ山が、カーテンを開けて、情報部を公安部の机のところへ呼んだ。