第108巻
第112章 始業式[2]
幌の方も、山門や星井出たちとクラスで一緒になった。
「ちっす」
「うぃっす」
かばんを置いて、窓辺に群がっている山門たちのところへ近寄る。
「何見てんだ?」
「ここからの景色さ」
「4階に下がったから景色がずっと近くに見えてね」
「それでか」
幌はそう言って、窓から見る光景を見た。
グラウンドには最後まで残っていた部活の部員が整地しているところだった。
その時、放送がかかって幌たちの方の体育館に行くことになった。
体育館に入ると、すぐに宮司は別れ、体育館放送室へ向かった。
「お二人とも早いね」
文版と豆見を見て言った。
「そりゃ、男子側へ来るんだからワンテンポ早く招集がかかるのよ」
豆見が宮司に話した。
マイクのセットは先生たちがしていたらしく、後は音量調整をするだけになっていた。
「だったら、俺が来る必要はなかったんだな」
「いやいや、撤収の手伝いをしてもらわないと」
文版が宮司が言ったことにすぐに答えた。
始業式自体は、とても退屈なものだった。
校長の話や、新しく赴任した先生の紹介、生徒会会長による新入生への話をして、最後にそれぞれのクラス担任を教えてから、解散となった。
そのままクラスへ帰っていく間は、わいわいがやがや話しをしていた。
「宿題を出して、今日はおしまいだったかな?」
幌が星井出に聞いた。
「一応はね。だけど、その後は、部活があるから、そっちに行くよ」
「じゃあ、俺も部活へ行っておくか」
星井出が伸びをしながら答えた。