第107巻
第111章 始業式[1]
7日になり、ようやく本格的な学校の授業が始まる。
桜と幌も、1週間ぶりの制服に着替えて、新しい教室へ向かった。
「おはよっ」
桜が2年1組の教室に入ると、半分ぐらいが教室に集まっていた。
「おはよー」
出席番号順に並んでいる座席で、座っていた琴子のところに、桜はかばんを机の上に置いてから歩み寄った。
「今日から2年生なんて、なんだか実感ないんだけど…」
桜が琴子に話す。
「せやけど、無事になれてよかったやん。なんぼか辞めていきよったみたいやで」
「本当に?」
「ああ、ほんまらしいで。せやかて、桜はやめへんやろ」
「そうだね、辞めるとすれば、欠点をとった時ぐらいかな」
「あ、おはよう」
二人の会話に入ってきたのは、文版だった。
「おはよう、二人とも。2年生になった感想は?」
「あんまりないかな。1年とクラスも変わらないから、ほとんどわからないね」
桜が答えた。
「あ、でも違うといえば、教室の階が変わったんだね」
「今までは最上階だった5階だったから、景色がよかったのにね」
文版は残念そうに言った。
「やけど、4階に移ったゆーて、すぐに景色悪くなるわけやないしな。そこらへんはどーでもええとおもうで」
「私のモチベーションが低下したりするのよ…」
「氷ノ山、やっときた」
文版が新しい声の主をそちらを向かずにあてた。
「宿題のノートをどこにやったか探してたんだ。困った子だよね」
かばんの中から出したのは、1冊のノートだった。
「宿題の?」
「そうだよ」
他にはないだろうという顔つきで、聞いてきた琴子に答えた。
「みなさん、おそろいでしたか」
「おはー」
「鈴、豆見と一緒に来たか」
その直後、放送が入った。
「これより始業式を行いますので、生徒のみなさんは元男子校側の体育館に来てください」
それを聞いて、みんなはも一度思い出した。