本当の強きものは軽装です
洞窟都市『エルゼリア』
この都市内には多数のダンジョンが生成されている
ただ3時間ごとに地形が変化するため、まだ探索できているのは50mほど、さらに深くなれば深くなるほどモンスターのレベルは上がるため、戦いづらくなる。なによりダンジョンという暗く狭い環境で、地上にいるモンスターよりも圧倒的にレベルの差がある敵と戦わなければならないのだ。
たとえ、大人数で挑んでも、同時に戦えるのはせいぜい3人。だからダンジョン内では、相当の実力者か、バカしか挑まない。
そんなダンジョンで、ある一人の男が挑みに来た。
彼は鬼才の実力者か、それともただの馬鹿か・・・。
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ある男が、今日もダンジョンに向かう
薄く通気性のいい麻の布でできた服には汚れが目立ち、そこらじゅうにほつれや穴がうかがえる
武器がいいものかと見て見ても、どう見たってただの銅剣だろう、いやもしかしたら銅ではなく木製かもしれない。もうほとんど色がハゲ、ボロボロになっているので、元の形がどんなものであったかもわからない
「なんだあいつ、”布の服“だけでダンジョンに挑むのか?死にたいのか?」
「まぁ、俺たちには関係ない話だ。誰が死のうが関係ない」
何度か衛兵やほかの探索者に探索を止められたがおかまいなしに進む。
「さて・・・今日も稼ぎますか」
そう一言放つと暗いダンジョンの闇に消えて行った。
ーーーーここから一人称視点になりますーーーー
「誰か助けてくれぇ!」
目の前には4人組のパーティーがいる
しかし、彼らの周りには初期レベルモンスターゴブリンがいる
おそらく彼ら全員が万全の状態であれば、素手でも戦える相手であろう。
しかしみたところ、戦士とタンクの二人は瀕死で後の二人は魔法使いと僧侶だろう
魔法使いも魔力が切れているのかさきほどから一瞬しか魔法を生成できていない。
「そこのお方助け・・・他の冒険者を呼んできてくださいませんか?!」
おそらくこの身なりだから役に立たないとでも思われたのだろう。しかしその判断は間違いだ。
この状況では、俺が射程距離にいるから無闇にゴブリンたちも動かないわけで、外れた瞬間4人に襲いかかるだろう。
「早くしなさいよ、この雑魚冒険者が!あんたは死んでもこっちはまだ役に立てるのよ!犠牲になりなさい!」
・・・なんだあの魔法使い
魔力制御もできねえくせに威張ってんじゃねよ
「はぁ、口の利き方に気をつけるんだな」
そう言い放ち、腰にかけてある“杖”を取り出す
歪な形をしているこの杖だが、銅製で斬撃武器としても使うことができる。
「エンチャント“フレアv5”『ダストフレア』」
「エンチャント“ブースト”」
杖自体に魔法をかけ炎を纏わせ、自身の身体能力を上げるバフをかける。
「さて、ダンスパーティーといこうか」
指を鳴らし、その音が消えるのを合図に動き出す。
一人目に斬りかかり、エンチャント『フレアダスト』による効果で辺り一面に火の粉が撒き散らされる。
そしてその火の粉に触れたのを確認したのち・・・
「踊れ狂って逝け」
ゴブリンがまるで炎に包まれているかのように叫び狂いながら次々と気絶していく。
「さぁお休みの時間だ。良い子はねんねしな!」
炎の次は氷。
辺り一面の温度が急激に下がり、みるみるうちにゴブリンたちが凍らされる。
完全に凍ったところで首を切り離し、ゴブリンたちは殲滅された。
その間わずか30秒
唖然とする冒険者パーティー
そして冷え切った空気とゴブリンの死体
「じゃあな、命があってよかったな」
そう言い残し、さらに深くへと進んでいく
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2話お楽しみに